ダメダメダメ!
良い酒が入ったから久しぶりに4人で酒盛りをしようと話が出たのは、兵助が取材先から帰ってくる前日だった。
彼が取材旅行に行ってすでに一週間が経っていた。
意外と寂しがりだったらしい兵助は二日に一回は家に電話をかけてくる。
それも全員がいる6時代を狙ってだった。
今回言った場所は酒蔵があるらしく、良い物を出版社の金で買えたので帰ってきてすぐに4人で飲むことになったのだった。
味は兵助が試飲して保証済みである。
酒は殆ど駄目な彼だったか、これは飲みやすいと言っていたのだから期待できると残りの3人は言い合っていた。
家に帰ってきた兵助はとりあえず妻である三郎にべたべたとひっついていた。
普段なら独り占めにするなと竹谷か雷蔵が言いそうな物の今回は酒の事と家を長く開けていたのとが相まって、見ているだけだ。
三郎も口では文句を言いつつも、寂しかったのもあるのか引きはがしたりはしない。
結局夜はみんなで外食して、帰ってから酒盛りとなったのだった。
疲れていると酒の周りが早い、と三郎はグラスを空けながらそんなことを考えていた。
ここ数日、仕事が幾つか重なって睡眠時間が何時もより短くなっていた。
綿密に計画を立てて納期きっかりに仕事を終える三郎だが、今回ばかりは少々勝手が違った。
重なったのもあるが、一番は取引先の勝手な予定の変更にあったのだ。
元々来週の終わりごろでいいと言われていたのに、諸事情により1週間速めろと言われた。
しかも今回その中継ぎをしたのは上司の立花でもなく、SEの三郎でもなく、たまたま電話を取った同僚だというのだからいただけない。
思わず返事をしてしまった彼に断るように言ったのだが、先方が強引に言ってきたせいでそれもできずに、寝る間も惜しんでプログラムを組む羽目になったしまったのだ。
睡眠時間を大幅に削ったまま挑んだ酒盛りだったが、どうにも酒の回りが早く感じる。
旦那達が何か話しているのも何処か夢心地で三郎は、ゆっくりと酒を飲んでいる。
兵助が買ってきた酒はかなり美味かった。
甘口の日本酒で口当たりもすっきりしており、大変飲みやすい。
確かに兵助がいいというのもうなずけた。
とはいえ、酒が回ってくれば酔いも回ってくる。
ここまで酔うなど自分にしては珍しいのだが、どうにも人に甘えたくてたまらないのだ。
グラスを置いて、近くにいる誰かに抱きつきたいという衝動を、三郎は酒を飲むことで何とかこらえている。
しかし、酒を飲めば酔いも回るし、更にその欲求が増してしまうのだ。
それと戦うので精いっぱいな彼は今、旦那様達が一体何を相談しているのか、知る由もないのである。
ここ数日、旦那様達は三人で協定を結び三郎に指一本たりとも触れていなかった。
勿論、軽いスキンシップは除くのだが。
三郎の仕事とも相まって、意外と禁欲生活は長く続けることができたのだった。
しかし、兵助が帰ってきて三郎の仕事も余裕ができた今、我慢する必要など微塵もなかった、しかし……。
「今晩は、私が一緒に寝るんだからな」
酒のせいで目を据わらせて告げる兵助に微かに雷蔵と竹谷も反応を示す。
ぴくりと幽かに動いた二人の米神に兵助もちらりと視線を送っている。
「何言ってるの、兵助。僕達だってここ1週間我慢してきたんだから」
譲ってよ、と続ける雷蔵に竹谷も視線を向けた。
「いや、それ俺も一緒だって。お前らだけが我慢してたみたいに言うなよ」
俺だって我慢してたという竹谷にもう一度視線が集まってしまう。
視線で牽制を掛け合っているという感じだった。
喧嘩はご法度という家訓もあってか、夫達の仲は良好のはずであるが、こういう時は別だった。
殴り合いになることは無かったが、視線で火花を散らし合い家訓に触れないように喧嘩をするのである。
しかし、ちらりとそこで兵助が三郎の方を見やった。
普段は自分たちの中で二番目に酒に強いはずの彼が、視線も虚ろにゆらゆらと体を横に揺らしながらグラスを傾けていたのである。
4人で酒盛りとなった場合、一番最初に沈むのは自分で次点が竹谷、それから三郎、雷蔵と続くのだが。
疲れと酒の美味しさ等々が相まって、今この中で一番酔っているのは彼なのだ。
その時、ぱっと兵助の中にある考えが浮かんでしまったのだった。
「…もう、面倒だから4人ですればいいんじゃない?」
その発言に一番最初に酒を吹き出しそうになったのは竹谷だった。
寸でのところで酒を零すのは避けたものの、げほげほと咽ている。
打って変って雷蔵はぽかんとしていたが、あぁと言いながらぽんと手を叩いていた。
「そりゃ名案」
と、言われた言葉に更に竹谷は雷蔵の方を振り返る。
こいつ今、なんて言った?!と言いたげな顔など余所に兵助と雷蔵はぐっと親指を立て合っている。
「お、お前らよく考えてみろよ?!あの三郎がそんなこと許すわけないだろ?前にやってみようって言ったら本気で嫌そうな顔されたの忘れたのかよ!?」
「あの時はほら、素面だったから」
「そうそう今なら勢いでOK出すかもしれないし」
あれ見てよはっちゃん、と兵助が指さす先を見て、竹谷はあー…と思わず納得しそうになった。
ぽやーとした表情の三郎はゆらゆら揺れながら、時々空いた方の手が何かを掴むように動いている。
「どう?はっちゃんもいけるって思っただろ?」
そう耳元に囁かれた言葉に彼はぎくりと肩を揺らせた。
図星というような反応に雷蔵と兵助の笑みが濃くなったような気がしてしまう。
「でも、そんな酔わせてとか…正直、どうかと思うし…」
「それは、相手が友達とかだった時でしょう?何たって僕らは夫婦だもの」
大丈夫大丈夫、と言う雷蔵の顔を見ながら竹谷はそうかなぁ?と首をかしげてしまう。
しかし、一度乗ってしまった二人を止めることなど竹谷に出来るわけがなかった。
こういう時、自分ばかりが良心に正直なのが損な気がしてしまうのだが。
「じゃあ、決まりだね」
「問題は三郎にどうやって切りだすかだな」
「……」
駄目だ、止まらないと竹谷があきれ果てている頃、三郎は我慢の限界にきていた。
何とか、何とかこの衝動を抑えようとしていたのだが、気がつけば夫たちは3人で何かを話している。
しかも自分には聞こえない声で。
何だか仲間外れにされている様で、三郎は我慢が出来なくなってしまったのだ。
「ハチ〜〜」
と、そんな情けない声が竹谷の耳に届くのと、三郎の腕が自分の体に巻きつくのはほぼ同時だった。
「さ、三郎?!」
今来たら狼が!と思わず言いそうになるのを堪えて、彼を振り返れば今にも泣きそうな眼が見える。
「みんな、酷い、私ばかり除者にしてぇええ」
そう言って抱きついてくる三郎相手に彼の理性が持つわけなどなかった。
酷い酷いと泣いてくる三郎の様子に、ちらりと視線を合わせれば、あーはいはいと竹谷はその体を横に来るようにと肩を抱いて体をずらした。
それに合わせるように三郎も体を動かしてくる。
3人に囲まれるようになれば、まだ涙も引っ込んだのか、幽かにしゃくり上げるくらいにまで、彼の感情の波は収まっていた。
竹谷に抱きついたままじぃとこちらを見つめてくる三郎に雷蔵がそっと手をのばして頭をなでてやる。
「除者に何かしてないよ、ただちょっと相談事があっただけなんだ」
「相談?私には言えないことなのか?」
そう問われればそうだねぇと雷蔵がこぼして、隣では兵助が少しだけ距離を詰めていた。
「っていうか、三郎のことを相談してたんだけど」
「私のこと?」
聞き返せば兵助も雷蔵も、竹谷もうなずいていた。
一体何だろう、と頭の中に言葉を浮かばせてもいまいち見当などつかなかった。
「うん、今晩、誰が三郎と寝ようかってことだったんだけどさ」
「…私と?」
「そう、でも、考えるの面倒だから4人でどうってなったんだけど」
そう言いながら雷蔵は頭に乗せていた指を、三郎の項へと滑らせた。
つつ、とその輪郭をなぞる様な動きに、ぴくりと三郎の体全体がはねる。
微かに、何?という抗議の声も聞こえたが気にすることもなく肩のところまで滑らせた。
「ねぇ、三郎は?4人で寝るの嫌?」
兵助にじっと見つめられれば、三郎はどうしようと幽かに視線をそらせた。
どう考えても、これはそう言う誘いだ。
寝るなどという言葉を現在では信用してはいけない気がする。
どうしようと、言うように竹谷を見上げようとすれば「こっち向いて」と兵助の手が伸びて、頬に添えられてそのまま口づけられた。
一度だけかと思えば、そのまま唇を舐められて口の中にまで兵助の舌が入ってくる。
ぎゅと目をつぶって、それを押し返そうとしても酒のせいで上手く力が入らなければ結局は存分に中を味わわれてしまった。
くたりと、竹谷に凭れかかって助けてと言うように軽く服を引く。
こういう仕草に一番敏感なのは彼だとわかっていたが、今回その期待は見事に裏切られてしまった。
「悪い、三郎…。俺も、我慢できないからさ」
ごめんな、と声をかけられれば彼の手が両手首をつかむのが分かった。
え、と目を開ければそのまま彼の膝の上に乗せられて、兵助と雷蔵に体の正面を向ける形になる。
「らい、ぞう?へーすけ?ハチ?」
不安そうに名前を呼んでも、ん?などと惚けた返事しか向けられない。
「三郎だってさっき寂しかったんだろ?だったら、4人で寝るの嫌じゃないよな?」
な、と言われてしまえば微かに三郎の喉が鳴る。
期待か恐怖か、そんなものは酒のせいで鈍った頭では判断がつかなかった。
「それに僕たちもずっとお預けだったんだから。…いいよね?」
そう言われてダメなどと、言えるわけもなかった。
それは自分だとて同じだった。
微かに三郎が頷く仕草を見て、3人の夫たちはにっとその口角を上げたのだった。
彼が取材旅行に行ってすでに一週間が経っていた。
意外と寂しがりだったらしい兵助は二日に一回は家に電話をかけてくる。
それも全員がいる6時代を狙ってだった。
今回言った場所は酒蔵があるらしく、良い物を出版社の金で買えたので帰ってきてすぐに4人で飲むことになったのだった。
味は兵助が試飲して保証済みである。
酒は殆ど駄目な彼だったか、これは飲みやすいと言っていたのだから期待できると残りの3人は言い合っていた。
家に帰ってきた兵助はとりあえず妻である三郎にべたべたとひっついていた。
普段なら独り占めにするなと竹谷か雷蔵が言いそうな物の今回は酒の事と家を長く開けていたのとが相まって、見ているだけだ。
三郎も口では文句を言いつつも、寂しかったのもあるのか引きはがしたりはしない。
結局夜はみんなで外食して、帰ってから酒盛りとなったのだった。
疲れていると酒の周りが早い、と三郎はグラスを空けながらそんなことを考えていた。
ここ数日、仕事が幾つか重なって睡眠時間が何時もより短くなっていた。
綿密に計画を立てて納期きっかりに仕事を終える三郎だが、今回ばかりは少々勝手が違った。
重なったのもあるが、一番は取引先の勝手な予定の変更にあったのだ。
元々来週の終わりごろでいいと言われていたのに、諸事情により1週間速めろと言われた。
しかも今回その中継ぎをしたのは上司の立花でもなく、SEの三郎でもなく、たまたま電話を取った同僚だというのだからいただけない。
思わず返事をしてしまった彼に断るように言ったのだが、先方が強引に言ってきたせいでそれもできずに、寝る間も惜しんでプログラムを組む羽目になったしまったのだ。
睡眠時間を大幅に削ったまま挑んだ酒盛りだったが、どうにも酒の回りが早く感じる。
旦那達が何か話しているのも何処か夢心地で三郎は、ゆっくりと酒を飲んでいる。
兵助が買ってきた酒はかなり美味かった。
甘口の日本酒で口当たりもすっきりしており、大変飲みやすい。
確かに兵助がいいというのもうなずけた。
とはいえ、酒が回ってくれば酔いも回ってくる。
ここまで酔うなど自分にしては珍しいのだが、どうにも人に甘えたくてたまらないのだ。
グラスを置いて、近くにいる誰かに抱きつきたいという衝動を、三郎は酒を飲むことで何とかこらえている。
しかし、酒を飲めば酔いも回るし、更にその欲求が増してしまうのだ。
それと戦うので精いっぱいな彼は今、旦那様達が一体何を相談しているのか、知る由もないのである。
ここ数日、旦那様達は三人で協定を結び三郎に指一本たりとも触れていなかった。
勿論、軽いスキンシップは除くのだが。
三郎の仕事とも相まって、意外と禁欲生活は長く続けることができたのだった。
しかし、兵助が帰ってきて三郎の仕事も余裕ができた今、我慢する必要など微塵もなかった、しかし……。
「今晩は、私が一緒に寝るんだからな」
酒のせいで目を据わらせて告げる兵助に微かに雷蔵と竹谷も反応を示す。
ぴくりと幽かに動いた二人の米神に兵助もちらりと視線を送っている。
「何言ってるの、兵助。僕達だってここ1週間我慢してきたんだから」
譲ってよ、と続ける雷蔵に竹谷も視線を向けた。
「いや、それ俺も一緒だって。お前らだけが我慢してたみたいに言うなよ」
俺だって我慢してたという竹谷にもう一度視線が集まってしまう。
視線で牽制を掛け合っているという感じだった。
喧嘩はご法度という家訓もあってか、夫達の仲は良好のはずであるが、こういう時は別だった。
殴り合いになることは無かったが、視線で火花を散らし合い家訓に触れないように喧嘩をするのである。
しかし、ちらりとそこで兵助が三郎の方を見やった。
普段は自分たちの中で二番目に酒に強いはずの彼が、視線も虚ろにゆらゆらと体を横に揺らしながらグラスを傾けていたのである。
4人で酒盛りとなった場合、一番最初に沈むのは自分で次点が竹谷、それから三郎、雷蔵と続くのだが。
疲れと酒の美味しさ等々が相まって、今この中で一番酔っているのは彼なのだ。
その時、ぱっと兵助の中にある考えが浮かんでしまったのだった。
「…もう、面倒だから4人ですればいいんじゃない?」
その発言に一番最初に酒を吹き出しそうになったのは竹谷だった。
寸でのところで酒を零すのは避けたものの、げほげほと咽ている。
打って変って雷蔵はぽかんとしていたが、あぁと言いながらぽんと手を叩いていた。
「そりゃ名案」
と、言われた言葉に更に竹谷は雷蔵の方を振り返る。
こいつ今、なんて言った?!と言いたげな顔など余所に兵助と雷蔵はぐっと親指を立て合っている。
「お、お前らよく考えてみろよ?!あの三郎がそんなこと許すわけないだろ?前にやってみようって言ったら本気で嫌そうな顔されたの忘れたのかよ!?」
「あの時はほら、素面だったから」
「そうそう今なら勢いでOK出すかもしれないし」
あれ見てよはっちゃん、と兵助が指さす先を見て、竹谷はあー…と思わず納得しそうになった。
ぽやーとした表情の三郎はゆらゆら揺れながら、時々空いた方の手が何かを掴むように動いている。
「どう?はっちゃんもいけるって思っただろ?」
そう耳元に囁かれた言葉に彼はぎくりと肩を揺らせた。
図星というような反応に雷蔵と兵助の笑みが濃くなったような気がしてしまう。
「でも、そんな酔わせてとか…正直、どうかと思うし…」
「それは、相手が友達とかだった時でしょう?何たって僕らは夫婦だもの」
大丈夫大丈夫、と言う雷蔵の顔を見ながら竹谷はそうかなぁ?と首をかしげてしまう。
しかし、一度乗ってしまった二人を止めることなど竹谷に出来るわけがなかった。
こういう時、自分ばかりが良心に正直なのが損な気がしてしまうのだが。
「じゃあ、決まりだね」
「問題は三郎にどうやって切りだすかだな」
「……」
駄目だ、止まらないと竹谷があきれ果てている頃、三郎は我慢の限界にきていた。
何とか、何とかこの衝動を抑えようとしていたのだが、気がつけば夫たちは3人で何かを話している。
しかも自分には聞こえない声で。
何だか仲間外れにされている様で、三郎は我慢が出来なくなってしまったのだ。
「ハチ〜〜」
と、そんな情けない声が竹谷の耳に届くのと、三郎の腕が自分の体に巻きつくのはほぼ同時だった。
「さ、三郎?!」
今来たら狼が!と思わず言いそうになるのを堪えて、彼を振り返れば今にも泣きそうな眼が見える。
「みんな、酷い、私ばかり除者にしてぇええ」
そう言って抱きついてくる三郎相手に彼の理性が持つわけなどなかった。
酷い酷いと泣いてくる三郎の様子に、ちらりと視線を合わせれば、あーはいはいと竹谷はその体を横に来るようにと肩を抱いて体をずらした。
それに合わせるように三郎も体を動かしてくる。
3人に囲まれるようになれば、まだ涙も引っ込んだのか、幽かにしゃくり上げるくらいにまで、彼の感情の波は収まっていた。
竹谷に抱きついたままじぃとこちらを見つめてくる三郎に雷蔵がそっと手をのばして頭をなでてやる。
「除者に何かしてないよ、ただちょっと相談事があっただけなんだ」
「相談?私には言えないことなのか?」
そう問われればそうだねぇと雷蔵がこぼして、隣では兵助が少しだけ距離を詰めていた。
「っていうか、三郎のことを相談してたんだけど」
「私のこと?」
聞き返せば兵助も雷蔵も、竹谷もうなずいていた。
一体何だろう、と頭の中に言葉を浮かばせてもいまいち見当などつかなかった。
「うん、今晩、誰が三郎と寝ようかってことだったんだけどさ」
「…私と?」
「そう、でも、考えるの面倒だから4人でどうってなったんだけど」
そう言いながら雷蔵は頭に乗せていた指を、三郎の項へと滑らせた。
つつ、とその輪郭をなぞる様な動きに、ぴくりと三郎の体全体がはねる。
微かに、何?という抗議の声も聞こえたが気にすることもなく肩のところまで滑らせた。
「ねぇ、三郎は?4人で寝るの嫌?」
兵助にじっと見つめられれば、三郎はどうしようと幽かに視線をそらせた。
どう考えても、これはそう言う誘いだ。
寝るなどという言葉を現在では信用してはいけない気がする。
どうしようと、言うように竹谷を見上げようとすれば「こっち向いて」と兵助の手が伸びて、頬に添えられてそのまま口づけられた。
一度だけかと思えば、そのまま唇を舐められて口の中にまで兵助の舌が入ってくる。
ぎゅと目をつぶって、それを押し返そうとしても酒のせいで上手く力が入らなければ結局は存分に中を味わわれてしまった。
くたりと、竹谷に凭れかかって助けてと言うように軽く服を引く。
こういう仕草に一番敏感なのは彼だとわかっていたが、今回その期待は見事に裏切られてしまった。
「悪い、三郎…。俺も、我慢できないからさ」
ごめんな、と声をかけられれば彼の手が両手首をつかむのが分かった。
え、と目を開ければそのまま彼の膝の上に乗せられて、兵助と雷蔵に体の正面を向ける形になる。
「らい、ぞう?へーすけ?ハチ?」
不安そうに名前を呼んでも、ん?などと惚けた返事しか向けられない。
「三郎だってさっき寂しかったんだろ?だったら、4人で寝るの嫌じゃないよな?」
な、と言われてしまえば微かに三郎の喉が鳴る。
期待か恐怖か、そんなものは酒のせいで鈍った頭では判断がつかなかった。
「それに僕たちもずっとお預けだったんだから。…いいよね?」
そう言われてダメなどと、言えるわけもなかった。
それは自分だとて同じだった。
微かに三郎が頷く仕草を見て、3人の夫たちはにっとその口角を上げたのだった。
後書き
長くなったのと、内容がR18になりそうなので一旦分けます。り、リクなのに分割とか本当に申し訳ないですが(汗)後半は18歳以上のお姉さま方のみでお願いします。
後半