三千世界の籠の鳥

第6.5話

*捏造満載です。三郎の家族とか、三郎の素顔とか出てます。
そんでもって、久々鉢でエロです。苦手な方はブラウザを閉じて下さいませ。*

幾度か啄むような口づけをした。
いつもは一度で照れてしまうけれど、今はそんな事など関係ないように思える。
照れよりもずっと、目の前の相手を感じたいという欲求の方が勝っていた。
幾度も幾度も口づけを交わして、そっと兵助が囁く。
「なぁ、三郎はあの人に素顔見せたのか?」
「見せてない…。見せたくなかったんだ、お前にもまだ見せてないのに」
それだけは守ったのだと解れば、そっか、と兵助が呟く。
そっと、片方の手を三郎の頬に滑らせて、彼の親友と同じ顔を見つめる。
「見せて。三郎の素顔が見たい」
ダメか?と続けると、三郎は暫し悩むように目を伏せてそれからそっと頷いた。
せめてこちらの最初くらい、目の前の相手に捧げたかった。
あれほど望まれた物を別の相手にという罪悪感がないわけではないが、それ以上に。
見て欲しかった、自分の素顔を。
家族以外に知らない自分の顔を目の前の相手に。
そっと手を離して、三郎は鬘に手を掛ける。
茶色のそれを取って、地毛を包む布を取る。
肩に勢いよく落ちた濡れ羽色の髪、それを軽く振って全部背中に流した。
それから、手を自分の顔にやる。
ぺり、と破けるような音を立てて、その皮を取り去っていく。
初めて、誰かに見せる顔。
兵助はどんな顔をするだろうか。
幻滅などしないだろうか、と三郎はそれを全部取り去って、鬘の傍に置いた。
そっと目を開くと目の前に兵助の顔がある。
じっと見つめてくる目は、真摯ででもそれでも優しかった。
「うん…初めて見るけど、何か、三郎だって顔だ」
「何だよそれ…」
そう言って、小さく笑う。
兵助の手がそっと三郎の顔の輪郭をなぞる。
すべらかな頬に、滑る指の動きは今まで触れた中で一番優しかった。
「…三郎」
名前を呼ばれて、それからまた唇を重ねた。
一度離して、それからまた今度は兵助から深く口づける。
微かに開いた唇の合間から舌を差し入れれば、一瞬怯えてそれが逃げるのが解った。
それを逃がさないと言うように、追いかければおずおずとそれに応えてくれる。
口の中で行われるそんな攻防も今はどうにも愛おしい物に思えた。
くん、と三郎から袖を引かれて兵助は腕を回す。
ぎゅ、と抱きしめてそれから、また舌を追いかけるように上体を倒すと三郎の体もゆっくりと床に倒れた。
冷たい板張りの上に体を置いて、それから体を重ねる。
触れ合ったところからじんわりと伝わってくる体温が愛しくて仕方がない。
幾度も幾度も唇を離して、それから舌を交えて。
そうやっている間に息も、空気も、温度が上がるように感じてひんやりとした床の感覚も無くなりそうだった。
「三郎…良いの?」
微かに体を離して、兵助が尋ねてくる。
申し訳なさと、それでも混じる熱の色に三郎は微かに目を細めた。
「聞くなよ、ばぁか…」
そう言って、自分から兵助の背中に腕を回した。
引き寄せるようにそれを動かして、また唇を重ねる。
ごめん、と照れくさそうに呟かれたのは唇の動きで解った。
三郎の腕が兵助の背中を這って、誘うように腰紐へと伸びた。
上半身を脱がせれば、下に着ている黒い装束が姿を現した。
兵助も三郎の寝間着へと手を掛ける。
「何か、恥ずかしいな…」
そう言って、笑うと三郎は「…うるせぇ」と悪態を吐いた。
素直じゃないのはいつもの事、真っ赤になったその顔が自分の言葉を肯定しているのは直ぐに解った。
互いに服を脱がし合って、裸に成ってしまえば触れる素肌が心地よかった。


兵助の手が三郎の体に触れる、その度に真っ赤になりながら微かに声を上げる。
濡れ羽色の髪が床に散らばって、それに光が揺れた。
「ぃ、すけっ…」
白い肌に幾つもある赤い痕は、昨晩経久に着けられたものばかりだ。
それを塗り消すように兵助はそこばかりに口づける。
上半身から下腹部へ、それから足へ。
体を滑らせて、口づけるたびに、自分で塞いだ口から三郎の甘い声が聞こえた。
くぐもっていても、自分の名前を呼んでくれているのが解る。
それにその度に、自分の中心に熱が集まっていく感じがした。
「ここで、最後……」
そう呟きながら、抱えた三郎の腿の内側に唇を落として、音を立てて吸った。
ひくん、とそれで彼の体が震える。
そう言って足を降ろしてやれば、はぁ、と大きく落ち着けるように息を吐き出していた。
その様子を見計らって、兵助は自分の指を舐める。
香油など、潤滑に仕えるような液体がここにあるはずもない。
それに手順など本で学んだような物ばかりだし、何よりもあの男と手順など出来るだけ踏みたくは無かった。
ただ、それでも痕跡は消してしまいたい、そう思ったのだ。
寝間着を脱がせた三郎の体には、赤い花弁の模様が幾つも散っていた。
まるで自分の物だと言うような付け方に、流石に兵助も眉間に皺を寄せてしまった。
「じゃあ、お前がもう一回付け直せよ…」
という言葉を貰ったのは、そこに指を這わせてからだったけれど。
言われたとおりに全部唇を寄せていけば、その度に体を震わせて、甘く名前を呼ぶ声が聞こえた。
指に唾液を絡めて、それを足の間、そしてその奥へと滑らせる。
その感覚にびくんと三郎が怯えたように体を揺らした。
「…三郎、こっち見て」
そう言って、顔を近づけて、口元を押さえていた手をそっと外した。
は、と浅く熱っぽい息を零す彼にまた口づける。
自分達は接吻ばっかりしているとぼんやりと思いつつも、止められなかった。
唇でも、手でも、何処でも良い。
何処かでもはっきりと触れている感覚が欲しかった。
唇を合わせると、強請るようにまた吸い付いてくる。
下も、初めて這わす指は自分でも少し震えているのが解る。
入口を解して、中に一本埋めてしまうとそこがどれほど狭いのか解った。
(はいんのかな、これ……)
そう思ってしまうほど、そこは狭くて堅い。
内壁を割るように指を進めて行く度に、痛そうに三郎の眉間に皺が寄った。
「三郎、ごめん、痛い?」
そう尋ねると首を緩く横に振られた。
痛くないと言うよりは大丈夫と言いたいようにも見える。
その仕草に、ん、と頷いて片方の手でその柔らかい髪を撫でると安堵したように眉間の皺が緩んだ。
何度も何度も中で指を動かして、柔らかくなるように指もじわじわと増やしていく。
「ぃ、すけっ、もう、良いっ…」
「三郎?」
「っ、早くしろって、言って、ん、だよっ」
はっ、と甘い息を吐きながら三郎の足が軽く両側へと開く。
誘っているのだと解ったのは、背中に廻った手が自分の髪を引いたからだ。
良いの?ともう一度聞くと、乱暴に口づけされる。
ふ、とそれに小さく笑って兵助は指を引き抜いた。
自分の中心に手をやって、体を密着させたままそれを入口へと宛う。
こくん、と自分と三郎、両方の喉が鳴るのがやけにはっきり聞こえた気がした。
「っ、ぁ、あ、ああっ」
腰を進めるたびに声が上がる。
空いた方の手を重ねて、ぎゅっと握るとそれが握り替えしてくる。
ゆっくりしたいけれど、でも早く全部繋がってしまいたいのは互いに同じだった。
痛いけれど、もっと奥まで、はっきりと解るくらい兵助を受け入れてしまいたい。
辛そうだけれど、それでも、全部解らなくなるくらい一緒になりたいと。
全部入ってしまえば、折り重なるようにして手を繋いだ。
「全部、入った」
そう言って笑うと「…知って、る」と返される。
まだ、動くなんてしたくない。
一つになった感覚を味わっていたかった。
首筋に唇を這わせて、耳たぶを食んで、それからゆっくりと腰を揺さぶった。
「んっ、ぃ、すけっ…」
「三郎、気持ちいい?」
耳元で尋ねると微かに首が下に下がる。
その動きに肯定してくれているのだと解って、兵助は嬉しそうに眉を細めた。
一つになっている、暖かく、それ以上に気持ちが良い。
「…このまま、が、良いのに」
零された言葉に兵助は動きを止めた。
潤んだ三郎の目から、一つ雫が頬を伝う。
「ったし、の、心でも良い、それが、兵助と、一つになったままなら、良い、のに」
「三郎…?」
「そうしたら、離れ、ない…お前の心も解るし、私のも、解って、貰えたまま…なのに」
「やだよ、一つになるとか、私は…嫌だ。心でも、二つじゃないとこんな風に触れ合ってても、それが幸せだって思えるか、自信がないよ」
「兵、助…」
「二人一緒、が良いんだ」
そう言ってまた口づける。
心が互いに伝わればいいのに、とそんな風には想う。
でも、繋がることも言葉を交わすことも触れ合うことも、結局は別れていなければ出来ないのに。
二つが一つになれる様な気がする、そう思えるのが幸せなのだと相手に伝えたかった。
「三郎、好きだよ、他の誰でもなくて、お前が好きなんだ」
そう言って、何度そう言えばそれが本当に伝わるのだろう。
「…私も、兵、助が、好きだ」
微かに、零れた、涙に濡れた声に兵助はその体を抱きしめる。
「…有難う、三郎」
そう言って、唇をまた合わせて、そのまま一番の幸せに飲まれた。





言い訳
取りあえず念願の久々鉢エロです。
何か、長い…orz
長い上に余りエロく無くて申し訳ないです。
元々心理描写を中心にやりたかったので、エロ自体は目的ではないのですけど!
何か上手く伝わるのか大変自信が…ない…です…。

まぁ、若干この話の主旨が久々鉢初めて物語になっていた様な気もするのです…が…(汗)
この二人は経久様とは違ってとにかく青臭くしたかったのです。
焦らすとか苛めるとかそんなの無し。
二人で触れ合っていられればそれで幸せ!って感じの。
を…、目指して玉砕したのは私です…orz
とりあえず後、1,2話でこれを完結させたいと思いますので、今暫くお付き合いお願いします。


 テンプレート製作者:オペラ 高橋