つーことで勘→鉢です。なんかもう、すいません。
兵助と勘ちゃんは親友です。兵助は勘ちゃんの三郎への気持を知っているから会わせたくなかったけど、同時に応援してあげたい気持もある。でも、会わせるとこうなるってどっかで解ってた系です。
そして私の中で勘ちゃん=ヤンデレはどうなんだっていうね←
オレンジ色を閉じ込めて
雷鉢←勘です。でも雷蔵死んでます、ついでに勘ちゃんは病んでます(精神的な意味で)三郎も病んでます。
閉じ込めて閉じ込めて、僕で包んであげたいのに…。
「雷蔵を色に例えるなら、私は橙色だと思うんだよ…」
そう言って三郎は虚ろな目で、今年取れたばかりの橙をそっと手に取った。
雷蔵が”いなくなってから“から三郎はこんな感じだ。
何処か焦点が会っていない目で、何時も雷蔵の事ばかりを話している。
取りとめのない話だったり、内容のある話だったり、三郎が雷蔵を如何に大事に思っているかだったり。
それを聞くたびに、俺は何時もさびしくなる。
今、三郎と一緒にいるのは俺であって、決して雷蔵じゃあない。
雷蔵はもう、三郎の傍に来ることはない、来ることは出来ないと言うのに。
「なぁ、勘右衛門、私この橙を食べてしまいたくない。だって、雷蔵と同じ、暖かい色をしているんだ」
「…駄目だよ、鉢屋。そのままってのは無理。腐るし、虫が沸くかもしれない」
そう言うと、三郎は悲しそうに眉を寄せて「そうか」と呟いた。
それでも、まだ食べるには戸惑われるのか、それとも彼の中でそれは雷蔵の象徴になったのか。
橙は三郎の手の中にあり続けていた。
就職してすぐだっただろうか、雷蔵が三郎をかばって死んだと聞いたのは。
たまたま再会した兵助が、そんな事をこぼしていた。
正直驚いたし、悲しかった。
でも、同時に一緒にいたはずの三郎はどうしたのだろうと思った。
三郎の事はずっと好きで、ずっと片恋を続けてきたのだ。
就職を機にふっ切ろうと決めたくせに、俺は女々しくもずっと彼を想い続けてきた。
だから、なんだろう、悲しみと同時に歓喜した自分も居たのだ。
あぁこれで三郎が執着していた相手が消えて、今彼は独りなのだと。
ならば、俺が入りこむ余地はあるはずだと。
「勘ちゃんは、会わない方が良いと思うんだけどね。…三郎の事、好きだっただろう?」
そう、兵助に言われたけれど、俺は首を横に振った。
どうしても会いたい、アイツは落ち込んでいるから励ましたいのだと言った。
その時に見た兵助の顔は何とも言えない。
憐れむような目だけれど、何処かで絶望していたのかもしれない。
兵助は三郎の状態を知っていた。
会わないほうが良いよ、といった意味を俺は三郎を目の前にして初めて知った。
そして、同時に、俺は決して三郎の中に入っていくことは出来ないのだと痛感し、絶望した。
ぼんやりとした瞳は空を見つめて、ただでさえ痩せていたのにがりがりになった手足はまるで枝の様で。
それでも、彼は決して変装を解いてはいなかった。
鬘から見える黒髪は、彼の本来の色だけれど鬘を取ることも、仮面を剥がれることも全力で抵抗するのだと言う。
雷蔵がいない、雷蔵が、雷蔵が…あぁ、私のせいで、雷蔵が…。
まるでうわ言のように紡がれる雷蔵という名前。
あぁ、本当だよ兵助、俺は三郎に会わない方がよかったんだ。
それでも、三郎と一緒に暮らすと言い張ったのは、絶望しても何処かで希望を持っていたせいなんだろうか。
今度は兵助も止めなかった。
そうか、とだけ言って実家にも見捨てられた三郎を引き取った。
もう何も言わないよ、と兵助は言った。
そう、どうなっても見ているだけだと、そう言うことだったんだろう。
俺は、三郎と二人で暮らしている。
結局三郎は橙を食べはしなかった。
大事にそれを抱いて、俺の隣で眠っている。
眠っていると言っても、三郎の意識は何時も眠っているようなものだから、実際は目を閉じているだけかもしれない。
あぁ、憎らしいとそんな三郎を見ているとそんな思いがわきあがってくる。
昔は触れることすら拒絶した三郎も、今じゃあ俺が誰か理解して、話をし、触れることを許してくれる。
だから、そんな風な三郎に、俺は自分を入れ込むのに必死だ。
そして、なぁ、雷蔵、俺はお前を消してしまうのに必死なんだよ。
俺はそっと三郎を起こす。
夢か現実か解らないように、そっとそっと。
そして耳元で囁くのだ。
「三郎、雷蔵は本当は生きてるんだよ。…でも、お前のせいで酷い体になってしまって、恨んでいるから。だから、会いに来ない、もうお前の事は嫌いなんだって」
そう言うと、三郎は「嫌だ、雷蔵、ごめんなさい、何でもするから許して」と泣き始める。
そして、今日はぎゅうと橙を抱きしめた。
でも、駄目だ。
雷蔵を連想させるものは、全部目の前で隠してしまう事にしている。
そうした方が、三郎には伝わるんだ、拒絶されているのだと言う事が。
「駄目、三郎。絶対に許さない、だから、これも持っていたら駄目だよ」
そう言って俺は三郎の手から無理矢理に橙を引き抜いた。
やめて、と彼はすすり泣く様に言って、俺が取り挙げた橙に向かって手を伸ばす。
でも、駄目だ、これは今三郎にとっては雷蔵だから。
それは全部隠してしまわなければいけない。
「ねぇ、三郎…、今は俺が居るよ。俺と仲良く一緒にいて、俺を好きになれば雷蔵は、また三郎の所に帰ってくるかもしれないってさ」
ねぇ、だから三郎、俺の事を好きになって。
お前はこうでもしないと、俺を好きになってくれやしないだろう。
雷蔵と引き換えに俺を好きになってよ。
「雷蔵、…雷蔵、ごめんなさい」
三郎、好きだよ、お願いだから、俺を少しで良いから、俺を、好きになってよ。
でも、同時に俺は思い知る。
何度三郎から”雷蔵”を取り挙げて隠してしまっても、俺は決して雷蔵に勝てはしない。
あぁ、死人には決して勝てないなんて誰がいったんだか。
俺はぎゅと三郎を抱きしめる、その間も彼はずっと雷蔵を呼んでいた。
「おはよう、鉢屋」
「…勘右衛門、また私が寝ている間に雷蔵はいなくなってしまった。何時になったら、雷蔵はちゃんと私の所に戻ってくるんだろうな…」
雷蔵、とまた三郎はその名前を呼ぶ。
「大丈夫だよ、鉢屋。…雷蔵はもうすぐ帰ってくるよ」
そう言うと三郎はまた虚空を見つめ始める。
あぁ、三郎、何時になったら君は…。
end
閉じ込めて閉じ込めて、僕で包んであげたいのに…。
「雷蔵を色に例えるなら、私は橙色だと思うんだよ…」
そう言って三郎は虚ろな目で、今年取れたばかりの橙をそっと手に取った。
雷蔵が”いなくなってから“から三郎はこんな感じだ。
何処か焦点が会っていない目で、何時も雷蔵の事ばかりを話している。
取りとめのない話だったり、内容のある話だったり、三郎が雷蔵を如何に大事に思っているかだったり。
それを聞くたびに、俺は何時もさびしくなる。
今、三郎と一緒にいるのは俺であって、決して雷蔵じゃあない。
雷蔵はもう、三郎の傍に来ることはない、来ることは出来ないと言うのに。
「なぁ、勘右衛門、私この橙を食べてしまいたくない。だって、雷蔵と同じ、暖かい色をしているんだ」
「…駄目だよ、鉢屋。そのままってのは無理。腐るし、虫が沸くかもしれない」
そう言うと、三郎は悲しそうに眉を寄せて「そうか」と呟いた。
それでも、まだ食べるには戸惑われるのか、それとも彼の中でそれは雷蔵の象徴になったのか。
橙は三郎の手の中にあり続けていた。
就職してすぐだっただろうか、雷蔵が三郎をかばって死んだと聞いたのは。
たまたま再会した兵助が、そんな事をこぼしていた。
正直驚いたし、悲しかった。
でも、同時に一緒にいたはずの三郎はどうしたのだろうと思った。
三郎の事はずっと好きで、ずっと片恋を続けてきたのだ。
就職を機にふっ切ろうと決めたくせに、俺は女々しくもずっと彼を想い続けてきた。
だから、なんだろう、悲しみと同時に歓喜した自分も居たのだ。
あぁこれで三郎が執着していた相手が消えて、今彼は独りなのだと。
ならば、俺が入りこむ余地はあるはずだと。
「勘ちゃんは、会わない方が良いと思うんだけどね。…三郎の事、好きだっただろう?」
そう、兵助に言われたけれど、俺は首を横に振った。
どうしても会いたい、アイツは落ち込んでいるから励ましたいのだと言った。
その時に見た兵助の顔は何とも言えない。
憐れむような目だけれど、何処かで絶望していたのかもしれない。
兵助は三郎の状態を知っていた。
会わないほうが良いよ、といった意味を俺は三郎を目の前にして初めて知った。
そして、同時に、俺は決して三郎の中に入っていくことは出来ないのだと痛感し、絶望した。
ぼんやりとした瞳は空を見つめて、ただでさえ痩せていたのにがりがりになった手足はまるで枝の様で。
それでも、彼は決して変装を解いてはいなかった。
鬘から見える黒髪は、彼の本来の色だけれど鬘を取ることも、仮面を剥がれることも全力で抵抗するのだと言う。
雷蔵がいない、雷蔵が、雷蔵が…あぁ、私のせいで、雷蔵が…。
まるでうわ言のように紡がれる雷蔵という名前。
あぁ、本当だよ兵助、俺は三郎に会わない方がよかったんだ。
それでも、三郎と一緒に暮らすと言い張ったのは、絶望しても何処かで希望を持っていたせいなんだろうか。
今度は兵助も止めなかった。
そうか、とだけ言って実家にも見捨てられた三郎を引き取った。
もう何も言わないよ、と兵助は言った。
そう、どうなっても見ているだけだと、そう言うことだったんだろう。
俺は、三郎と二人で暮らしている。
結局三郎は橙を食べはしなかった。
大事にそれを抱いて、俺の隣で眠っている。
眠っていると言っても、三郎の意識は何時も眠っているようなものだから、実際は目を閉じているだけかもしれない。
あぁ、憎らしいとそんな三郎を見ているとそんな思いがわきあがってくる。
昔は触れることすら拒絶した三郎も、今じゃあ俺が誰か理解して、話をし、触れることを許してくれる。
だから、そんな風な三郎に、俺は自分を入れ込むのに必死だ。
そして、なぁ、雷蔵、俺はお前を消してしまうのに必死なんだよ。
俺はそっと三郎を起こす。
夢か現実か解らないように、そっとそっと。
そして耳元で囁くのだ。
「三郎、雷蔵は本当は生きてるんだよ。…でも、お前のせいで酷い体になってしまって、恨んでいるから。だから、会いに来ない、もうお前の事は嫌いなんだって」
そう言うと、三郎は「嫌だ、雷蔵、ごめんなさい、何でもするから許して」と泣き始める。
そして、今日はぎゅうと橙を抱きしめた。
でも、駄目だ。
雷蔵を連想させるものは、全部目の前で隠してしまう事にしている。
そうした方が、三郎には伝わるんだ、拒絶されているのだと言う事が。
「駄目、三郎。絶対に許さない、だから、これも持っていたら駄目だよ」
そう言って俺は三郎の手から無理矢理に橙を引き抜いた。
やめて、と彼はすすり泣く様に言って、俺が取り挙げた橙に向かって手を伸ばす。
でも、駄目だ、これは今三郎にとっては雷蔵だから。
それは全部隠してしまわなければいけない。
「ねぇ、三郎…、今は俺が居るよ。俺と仲良く一緒にいて、俺を好きになれば雷蔵は、また三郎の所に帰ってくるかもしれないってさ」
ねぇ、だから三郎、俺の事を好きになって。
お前はこうでもしないと、俺を好きになってくれやしないだろう。
雷蔵と引き換えに俺を好きになってよ。
「雷蔵、…雷蔵、ごめんなさい」
三郎、好きだよ、お願いだから、俺を少しで良いから、俺を、好きになってよ。
でも、同時に俺は思い知る。
何度三郎から”雷蔵”を取り挙げて隠してしまっても、俺は決して雷蔵に勝てはしない。
あぁ、死人には決して勝てないなんて誰がいったんだか。
俺はぎゅと三郎を抱きしめる、その間も彼はずっと雷蔵を呼んでいた。
「おはよう、鉢屋」
「…勘右衛門、また私が寝ている間に雷蔵はいなくなってしまった。何時になったら、雷蔵はちゃんと私の所に戻ってくるんだろうな…」
雷蔵、とまた三郎はその名前を呼ぶ。
「大丈夫だよ、鉢屋。…雷蔵はもうすぐ帰ってくるよ」
そう言うと三郎はまた虚空を見つめ始める。
あぁ、三郎、何時になったら君は…。
end