リップクリーム



雷蔵と兵助と俺と三郎、最近はこの面子で連むことが多くなった。
雷蔵の双子の弟だという三郎が現れたときは正直びっくりしたし、その性格の違いにも戸惑ったけれど。
今では二人きりで過ごしてもそんなに辛くなくなった。
しかも、どういう奇跡か知らないが、俺の親友の一人たる兵助はこの弟の事が好きだと言い出し、4ヶ月前の夏の日、見事に両思いと相成ったらしい。
その報告は直ぐにメールでやってきて、一度大荒れしたのだけれど(主に三郎と雷蔵が)。
晩秋の冷たい風も苦手らしい三郎は、門の前で雷蔵と兵助の委員会が終わるのをカタカタと小刻みに震えながら俺と二人で待っている。
他校の人間を入れることが出来ない決まりだから、俺はここで三郎に付き合うことに決めたのだが。
「……何で、てめぇの学校はこんな決まりがあるんだよ」
「知るかよ。お前の所だって一緒だろ?」
と問い返すと、確かと短い返事が返ってくる。
日も沈んでしまって、教師らしい人影も見あたらない。
それを見計らって、三郎は煙草を一本取り出して、口にくわえようとするから俺も流石に、ぎょっとする。
「おっま…!煙草は止めろよ、ってか、俺の隣で吸うな!俺まで一緒だと思われるだろ」
そう言いながら煙草を奪い取って、半分に折りぽいと投げ捨てると、三郎は不満そうに俺を睨んでくる。
「ばれねぇよ。こういうのは堂々としてる方が気付かれないの」
「それは!お前が余所の学校に通ってるからだろうが!俺はここの生徒なの!先生に顔割れてるわけ!」
解ったか!と言うと、小心者という呟きが聞こえた。
いや、そういう問題じゃないだろ、と言いたかったけど多分此奴は大して応えないのだろう。
はぁ、と溜息を吐きながら三郎の方を見ると、今度は何か塗りたくっている。
「お前、何やってんの?」
「リップぬってんの。見て解るだろ?」
「まぁ、そうなんだけどさ」
そう言う事じゃなくて、と言おうとすれば先に三郎が口を開いた。
「……冬は乾燥するんだよ。あんまりがさがさしてると、気持ち悪いだろ」
そう返されて思わず面食らった。
誰が、何時、気持ち悪いんだ?と聞き返したくなったけど、多分、聞いたら俺はもっとどうしようもない気持ちになるんだろうと直ぐに予測が付いてしまった。
そうかよ、と返すと三郎は隣で怪訝そうな顔をしている。
そんなちょっと気まずい空気の中聞こえた俺と三郎を呼ぶ兵助の声が少しだけ救いに思えてしまった。

end

キスしたときに、気持ち悪いんですよと。竹谷はそこまで考えたけど、三郎は多分あんまり考えてないです。そして、この三郎、めっちゃ口悪いwww
現代三郎の口はめっちゃ悪いです。でも雷蔵の前だとちょっとだけ大人しくなると良い。そんなブラコン。