おそろいの手袋



冬の休み時間というのは、やはり教室で過ごす物だと誰しもが思っている。
かしゃかしゃと響く編み棒の音はある意味風物詩みたいな物だ。
しかし自分の友人二人が、この忙しい試験前にまで何をやっているのかと言う話で。
滝夜叉丸と三木ヱ門は流石に互いに顔を見合わせてしまった。
「タカ丸さん、喜八郎…二人は一体何を作ってるんですか?」
口火を切ったのは三木ヱ門の方だ。
ん?と質問をされた二人は顔を見合わせて、それから二人へと向き直った。
「手袋を編んでるんだよね、喜八郎」
「はい。お揃いの手袋を作ってます」
「…お揃いの手袋?」
手編みで?と滝夜叉丸と三木ヱ門は怪訝な顔をした。
確かに二人がそういう仲で有ることは知っているけれど。
それじゃあ只のバカップルじゃないかと、思いつつ喜八郎へと視線を送ると、それに気付いたらしい彼は不意と視線を逸らした。
((お前が言い出したのか……))
と、ちょっと呆れそうになってしまった。
「毎年編もうねって約束したんだよね」
「はい、来年も再来年もって」
きらきらと幸せそうにする二人に、滝夜叉丸達はそれだけで教室の温度が上がる気がした。
編み物なんかほったらかしで、手を握り合いながら「ずっと一緒にいようね」とか何とか言ってる友人二人にはツッコム気すら失せてしまった。
「滝…ちょっと、売店に付き合ってくれないか」
「奇遇だな、三木ヱ門、私も何か飲みたいと思っていたんだ」
((付き合ってられるか!))
別に此奴じゃなくても良いんだけど、と思いつつ二人は教室を後にするべく踵を返した。
背後では、また手袋を編む編み棒の動きが再開されたらしく、音が響いていた。

結局、手袋は数日後には完成し、次はマフラーだねと話しているのを聞いて、二人が頭を痛くしたのはまた、別の話である。

end

バカップル綾タカとそれに頭を痛くする滝+三木です。あ、この二人は普通に友情で。CPも好きですが、くっつくまでにはとてつもない時間を掛ければいいと思います。そして、きっとマフラーも完成します(笑)