小指を立てる

「かまっぽい」
と、怪訝な顔をして三郎が俺の顔を見つめている。5人で遊びに行くのは何時もの事で、その席で言われた言葉に全員が三郎を見つめた。
「かまっぽいって何が?」
緩く首をかしげて尋ねる雷蔵に俺も肯いている。カラオケに来て、兵助が歌う別のバラードをBGMに三郎はんと肯いていた。
「勘右衛門、お前気づいてないのか?」
「何が?」
「お前、物持つ時、小指立ってる」
「あー…そういや立ってんな」
隣でウーロン茶を飲んでいた八も肯いていた。小指?俺の小指立ってんの?と自分の小指だけを立てれば三郎はうんと肯いている。
「正直すげぇかまっぽい」
「まぁ、確かにちょっとなよっちい感じはするよね。しかも勘ちゃん、結構そういう癖あるみたいだし、ちょっと内またになったりするし」
「そう…かな?」
そう聞き返せば4人はうんと大きくうなずいてる。こんな話をしているのに、兵助は熱唱中だった。ある意味凄いと思う。
「…治した方が良いかな?」
「どうかな?こういう癖はなかなか治らないものだし」
「まぁ、気が付いたら誰か注意してやれば良いんじゃないのか?」
既に興味を失っているのか、三郎はカラオケに曲を入れている。まぁ、正直俺にとっちゃあお前の選曲の方がどん引きなんだけどね!お前、入ってるの全部倖田ってなんだよ!とか思う。
そんな三郎の歌声を聴きながら俺はジュースを手に取る。そして、兵助があ、と声を出した。
「勘ちゃん、立ってるよ?」
そう言われて、俺は自分のぴんと立ちあがった小指を見つけることになる。ってか、兵助、聞いてたんだ、熱唱しながら…。

end

5年で現代ものです。小指を立てる人っていると思うんですが、もし勘ちゃんにそんな癖があったら的な感じで。