5. 残さずきれいに味わってね (雷鉢:現パロ)

扉を開いた瞬間僕は思わず立ちつくしてしまった。
「あ、らいぞー、お帰りぃ」
と、言って酒瓶を部屋にごろごろところがしているのは間違いなく僕の恋人であり、なおかつ僕と同じくらい酒が強い三郎のはずなんだけど。
夢でも見ているのか?と僕は悩み始めそうになった。
でも、そんなのはお見通しとばかりに三郎は僕に抱きついてきた。
あんまりにも勢いよく来るものだから、たたらを踏んでしまう。
「三郎、どうしたの?なんか、凄いチョコレートの匂いが…」
なに呑んだの?と言うと、三郎は「あぁ、これぇ」と言いながら手に持っていた酒瓶を僕の方へと向けた。
「ゴディバのチョコリキュールだ。バイト先でねぇ、紹介してもらって、美味しくって…一人で作って飲んでたぁ」
あはは、と言って彼は僕に頬ずりしてくる。
あぁもうなんて言いながら、僕は三郎を抱えてソファへと移動した。
甘い匂いには確かにアルコールが混じっている。
こんなになるまで一人でカクテル作って飲んでたのかと思うと、彼ののめりこむ性格がちょっとばかり恨めしい。
「…雷蔵も飲むか?牛乳で割るのも良いんだけど、他にもブランデーとか使ってもなかなかだぞ」
そう言って更に酒に手を出そうとするから、僕は彼から無理矢理酒瓶を奪った。
余程気に入ったのか貯めていたお金で結構な量を買いこんできたらしい。
転がっている酒瓶の殆どはゴディバのリキュールのものだ。
「三郎、これ以上は駄目だよ。…明日も大学あるだろ?」
そう言うと三郎は不満そうに唇を尖らせた。
「だって、雷蔵がいけないんだぞ。…何時までも帰ってこないから」
「そりゃ…、今日はバイトがあるから。遅くなるって言ってたはずだけど」
もしかして、僕を待ってる間にこれだけ飲んだのか、と少し呆れてしまう。
「最近、何時もそうだ。…私だって、寂しくないわけじゃないんだ」
そう言ってぎゅと僕の体に腕をまわしてくる。
酔っているせいか何時もよりも―いや、滅多に見せないくらいに素直になっている。
普段は素直って言うよりも、聞きわけが良いって言う方が正しいし。
「……雷蔵」
うっすらと涙を浮かべて僕の服を握ってくる彼に、しょうがないなぁと言いながら唇を落とす。
今日はそんなつもりなかったんだけど、しょうがないよね、と自分に言い聞かせて、僕はソファに三郎を押し倒した。
こっそり、浮かべられたにやりとした笑みにはこの際、目をつぶることにして。

END

やっぱり「あまーい!」とか聞こえてきそうだww
確信犯三郎と乗ってあげる雷蔵。一応、ヴァレンタインにもかこつけてみたんですが…微妙になってしまった;;