コタツが来た日
三郎がとうとう炬燵を買ったらしい。
それまでに迎えた冬は大抵布団とエアコンで過ごしていたらしい。
冬になるとそこから出るのも嫌で、学校はサボリ放題だし、ついでに気が付いたら3日くらい何も食べてない事が多かったらしい。
取りあえず温かい布団の中で寝て、起きて電気を付けて、それでまた適当に時間を潰して、また寝る。
中学時代はそればかりで父さんの所に何度か電話が来たそうだ。
それで、流石に高校はまずいと思ったのか、その防止策として炬燵を買った。
買ったけど…、その日彼の部屋に行って僕は取りあえず溜息を吐いた。
あぁ、だって目の前にコタツムリとかいうのが居るんだもの。
手には三郎に頼まれた夕飯の材料が入ったスーパーの袋。
どうりで家に入ったとき人の気配がしないわけだよ、三郎は炬燵の中に肩まで入ってそれはそれは幸せそうに寝ていたのだから。
「三郎、来たよ。好い加減起きないと、炬燵で寝たら風邪引くって」
「……んー…らい、ぞー…?」
寝起きの悪い三郎はぱちぱちと何度か瞬きをしながら、こちらを見てくる。
目が開かないから視界もしっかりしないのか、炬燵からちょっとだけ出ていた手がふらふらと彷徨っている。
「そ、お。ほら、言われてた物買ってきたから。晩ご飯作ってくれるんでしょ?」
違うの?と続けると、違わないけど…と眠そうな声で帰ってきた。
「…起きたく、ない」
「でも起きないと作れないだろ?」
「…んぅ…飯なんて、起きてからで良い…」
ねぇ、と言って三郎は僕の方に手を伸ばす。
それを取ってちょっと近づいていくと、微かに彼の頭が上がった。
「でも、兵助とかハチも呼んでるんでしょ?」
「……知ら、ない…」
いや、呼んでるって。
一斉送信で「炬燵買った、見に来い」って送ったのは君でしょうが。
ほら、ともう一度起こそうとした所で、三郎は僕の膝に頭を乗せてきた。
うつぶせで、んー…とか言いながら。
「君は…、梃子でも起きない気なんだね…」
「……炬燵、最高…」
買って良かった、という言葉を最後に三郎はまた寝入ってしまった。
あぁ、多分今年の冬も担任から電話が来るのだろうなぁともう、最近は殆ど顔を合わせていない父親を哀れに思った。
そして、この食材をどうしよう。
僕は身動きできないまま、みんなが来るのは本当に何時だろう、と玄関の方に視線をやった。
end
お兄ちゃんのお膝でお昼寝です。
多分三郎はみんなが来てから飛び起きるんだと思います。
そして、炬燵をどうしようか悩んで結局冬のお供になるのです。
それまでに迎えた冬は大抵布団とエアコンで過ごしていたらしい。
冬になるとそこから出るのも嫌で、学校はサボリ放題だし、ついでに気が付いたら3日くらい何も食べてない事が多かったらしい。
取りあえず温かい布団の中で寝て、起きて電気を付けて、それでまた適当に時間を潰して、また寝る。
中学時代はそればかりで父さんの所に何度か電話が来たそうだ。
それで、流石に高校はまずいと思ったのか、その防止策として炬燵を買った。
買ったけど…、その日彼の部屋に行って僕は取りあえず溜息を吐いた。
あぁ、だって目の前にコタツムリとかいうのが居るんだもの。
手には三郎に頼まれた夕飯の材料が入ったスーパーの袋。
どうりで家に入ったとき人の気配がしないわけだよ、三郎は炬燵の中に肩まで入ってそれはそれは幸せそうに寝ていたのだから。
「三郎、来たよ。好い加減起きないと、炬燵で寝たら風邪引くって」
「……んー…らい、ぞー…?」
寝起きの悪い三郎はぱちぱちと何度か瞬きをしながら、こちらを見てくる。
目が開かないから視界もしっかりしないのか、炬燵からちょっとだけ出ていた手がふらふらと彷徨っている。
「そ、お。ほら、言われてた物買ってきたから。晩ご飯作ってくれるんでしょ?」
違うの?と続けると、違わないけど…と眠そうな声で帰ってきた。
「…起きたく、ない」
「でも起きないと作れないだろ?」
「…んぅ…飯なんて、起きてからで良い…」
ねぇ、と言って三郎は僕の方に手を伸ばす。
それを取ってちょっと近づいていくと、微かに彼の頭が上がった。
「でも、兵助とかハチも呼んでるんでしょ?」
「……知ら、ない…」
いや、呼んでるって。
一斉送信で「炬燵買った、見に来い」って送ったのは君でしょうが。
ほら、ともう一度起こそうとした所で、三郎は僕の膝に頭を乗せてきた。
うつぶせで、んー…とか言いながら。
「君は…、梃子でも起きない気なんだね…」
「……炬燵、最高…」
買って良かった、という言葉を最後に三郎はまた寝入ってしまった。
あぁ、多分今年の冬も担任から電話が来るのだろうなぁともう、最近は殆ど顔を合わせていない父親を哀れに思った。
そして、この食材をどうしよう。
僕は身動きできないまま、みんなが来るのは本当に何時だろう、と玄関の方に視線をやった。
end
お兄ちゃんのお膝でお昼寝です。
多分三郎はみんなが来てから飛び起きるんだと思います。
そして、炬燵をどうしようか悩んで結局冬のお供になるのです。