ゆれるな しっぽ!

目を覚ました三郎は、今にも泣きそうに自分の尻尾を見てしまった。
何で、どうしてと言いたげな目でそれを見てはうなだれるのだ。
気がついたらもう大丈夫かと兵助と竹谷は委員会があると姿を消した。
部屋にはそんな三郎と、どう声を掛けていいかわからないと言った雷蔵だけが残されたのだった。
「三郎、お腹空かない?お昼食べ損ねちゃったし、さっき兵助達がお団子置いてってくれたんだけど」
そう言うと、三郎はうんと小さくうなずいた。
ショックであまり元気が出ないのだろう、立ち上がった雷蔵を視線で追うことすらしなかった。
布団に膝を抱えて蹲っているのを見れば少々可哀そうにもなってくる。
だが、一段落して腹が減ったというのは本当だ。
雷蔵は机の上に置いていた団子を持って、三郎の隣にきた。
包みを開けば甘そうな餡子の香りが鼻腔をくすぐる。
それにぱたり、と尻尾がはねたのが分かった。
布団の上に座っているのだから、当然尻尾は床の方へと延びていた 。
ぱたり、ぱたりとそれは少しだけど嬉しそうにはねている。
「ほら、三郎、団子。三色で中に餡子が入ってるんだって」
好きだろう?と言えば、小さくうなずいている。
そして、またちらりと尻尾を見れば早くというように先ほどよりも忙しくなく動いていた。
「三郎…尻尾が…」
と、思わず呟いてしまえばさっと彼の顔が上がって、体の後ろにある尻尾を見やった。
それにゆらゆらと嬉しそうに揺れるそれを見れば、かっと顔が赤くなっている。
「三郎、そんなにお団子嬉しかったの?」
そう言えば、頷くように尻尾が動いた。
「う、うれしくない!その、これは腹が減ってて、それでだなぁ」
それで動いているだけだ、と顔を赤くしながらこちらに向かって主張している。
それに合わせて、慌てたのかぴっと尻尾の毛が逆立って、耳もぴんと立っていた。
あぁ、わかりやすいなぁと思いながら雷蔵は「まぁ良いから、これ、食べよう」と言って団子を差し出す。
それに、逆立っていたはずの毛が治まって、またぱたぱたと嬉しそうに揺れた。
「あああああ!もう!何なんだよ、この尻尾!」
と、三郎は自分の腰から生えているそれにイライラしたように声を上げたのだった。