でも、貴方は来なかった

ここで待つと告げたのに。

「次の連休って、先輩暇ですか?」
そう尋ねたときに先輩は思いきり首を傾げた。
「暇って聞かれると怪しいかな。急に予定が入るかも知れないし…。言い切れないけど」
何かあるのか?と不思議そうに言うから「暇なら一緒に遊ぼうって思って」と俺は勇気を振り絞って続けた。
声は震えてなかった、何度も練習した言い訳だったから。
多分先輩は何で?って言うから、それに対する返事を考えておかなきゃいけない。
だって、俺と先輩はバイトの先輩後輩ってだけで、しかも先輩にはちゃんと好きな人がいるって知ってるから。
通ってる学校も違うし、接点があるのはバイトの時だけ。
それでも好きだなぁと思ってしまったんだから、仕方ない。
でも、時々先輩の大学での話を聞いてると、いつも同じ人が出てくる。
いっつもその人と一緒に居るんだと言ってるみたいだった。
でも、そういう相手とかいるんですか?って聞くと首を横に振るから、あぁ、まだそう言う関係じゃないんだなぁって解った。
だから、ちょっとだけ期待したかった。
待ち合わせの場所に指定した公園の噴水の前。
携帯の画面には「ごめん、予定が入った」という文字。
休みのせいなのか、やたらと人が行き交う所で俺はぼんやりとその人混みを見つめた。
本当は先輩に予定が入っても、入らなくてもここでずっと待ってる心算だった。
ちょっとだけ期待をしたかった。
少しでも先輩に気に掛けて貰ってるって思いたかったけど。
(あぁ、やっぱりダメなんだ……)
と、決して来ることがないあの人の姿をもう少しだけ探そうと思った。

end

一応、久々←タカです。
初なのに片想いタカ丸。
この後、綾部が迎えに来ると良いと思います。