半熟卵を突き破る

そういう癖らしい。

三郎の朝は遅い。
低血圧の彼奴らしく私が起きてから30分くらいはベッドの中でぼーっとして、動き出すことはない。
だから、この部屋に泊まった朝に朝食を作るのはすっかり私の役目になっていて、彼奴は眠たい動きでそれを食べるだけだ。
今日はまだ、早い方で20分くらいで寝室から起き出してきて、リビングのソファに座ってテレビを着けた。
それでも、まだ眠いのか時々ソファの背もたれに後頭部をぶつけている。
まぁ、それよりもと私は手にしていたフライパンの上にある目玉焼きを見下ろした。
久しぶりに作った目玉焼きは私の好み通り、半熟玉子になっている(普段は私の好みでみそ汁と白米だ)。
しかも、二つ同時にそれが出来たようで朝からちょっと得したような気分だ。
それをレタスとトマトを乗せておいた皿に乗せて、ダイニングテーブルに置く。
「三郎、朝飯出来たぞ」
おい、と呼ぶと彼は緩慢な動きでソファを立ちあがった。
どうせ話しかけてもまともな返事など返ってこないのは解っているが、話しかけてしまうのは少しでも早く目を覚まして欲しいという悪あがきだ。
こいつの寝起きの悪さは筋金入りな上に、彼の兄の雷蔵のお墨付きでもある。
ダイニングテーブルに着いて、綺麗に焼き上がった目玉焼きをじっと見つめて、三郎は箸を手に持った。
サラダを食べて、そして玉子の白身を少し食べて。
そして、黄身を突き破って、中の黄身は白身にじわりと広がっていく。
そうするのが三郎の目玉焼きの食べ方だ。
それを見ながら、こいついつものメニューに目玉焼きだったらどうするんだろう、やっぱり同じように食べるんだろうかと観察しながら思った。


end

現代版くく鉢の朝、洋食Verです。
寝ぼけながらご飯を食べる三郎とか超見たい。