いまここにある危機
見上げた先の君は見たことも無いような顔をしていた。
物の弾みだった。
部屋に散らばっていた服の裾を踏んだのはどっちだったのか。
喜八郎が先だったのかも知れないし、俺が踏んだのかもしれない。
もしかしたら、同時だったのかもしれない。
気がついたら、俺の上には喜八郎がいたし、喜八郎の下には俺がいた。
しぃんとした部屋で何故か俺たちは無言になってしまった。
こくりと、自分が息を飲む音がやけに響いてしまった気がした。
それに呼応するように喜八郎が一度だけ瞬きをした。
自分の顔の横にある喜八郎の腕は動かない。
そして、俺の体も動かない。
綺麗な、彼の顔は驚いた様なまま固まってしまっているのだ。
でも、きっと俺も同じような顔をしているのだろう。
だって、俺はずっと喜八郎のことが好きだったし、実際今だって好きだし、心臓がドキドキしているのが解るのだ。
それくらい、近い位置に好きな人の顔があるのだか、動悸が激しくなるのは当然でしょう?
そろと視線を上げれば喜八郎の視線と絡んで、今度はそれが離れなくなってしまった。
「タカ丸さん」
と、少しだけ掠れたような声で名前を呼ばれて、俺は「何?」とだけ短く返した。
「好きです、タカ丸さん」
そう言って、彼の眼は不思議そうなものから真剣な眼差しへと変わった。
あぁ、こんな喜八郎は本当に初めてみるかもしれない。
告白した時だって、嬉しそうな顔ばかりが浮かんでくるし、初めて手を繋いだ時だって照れたようなものだったはずだ。
なのに、どうして今日はそんな風に真剣な目をするんだろう。
俺は小さく「俺も、好きだよ」と返した。
それに喜八郎は小さくうなずいて、そっと顔を近づけてきた。
あ、と俺は喜八郎がどうしてこんな顔をしているのか解った気がした。
あぁ、何だそう言うことなのか、と理解して目を閉じる。
喜八郎も俺と同じでドキドキしてるんだ。
それで、こんな目を、顔をしているんだ。
そっと触れられる唇に俺は小さく笑った。
たぶん、これは何とかの危機とか言う奴で、本当は逃げた方がいいのかもしれないけど。
でも、俺はこの危険がちょっと嬉しくて、ちっとも嫌じゃなかった。
「好きだよ、喜八郎。好き、大好き」
そう、離れた唇で言ってあげると彼はまたそれを押し付けてきた。
あぁ、危ないなぁと俺は全然危機感もなく思ったのだ。
end
何とかの危機って言うのはもちろん貞操です(オイ)
でも、綾部のことが好きだから流されちゃうタカ丸さんです。最初はタカ丸の方が余裕があるのかもなぁと思うのですが。でも、そのうち、逆転されるにきまってるwwww
物の弾みだった。
部屋に散らばっていた服の裾を踏んだのはどっちだったのか。
喜八郎が先だったのかも知れないし、俺が踏んだのかもしれない。
もしかしたら、同時だったのかもしれない。
気がついたら、俺の上には喜八郎がいたし、喜八郎の下には俺がいた。
しぃんとした部屋で何故か俺たちは無言になってしまった。
こくりと、自分が息を飲む音がやけに響いてしまった気がした。
それに呼応するように喜八郎が一度だけ瞬きをした。
自分の顔の横にある喜八郎の腕は動かない。
そして、俺の体も動かない。
綺麗な、彼の顔は驚いた様なまま固まってしまっているのだ。
でも、きっと俺も同じような顔をしているのだろう。
だって、俺はずっと喜八郎のことが好きだったし、実際今だって好きだし、心臓がドキドキしているのが解るのだ。
それくらい、近い位置に好きな人の顔があるのだか、動悸が激しくなるのは当然でしょう?
そろと視線を上げれば喜八郎の視線と絡んで、今度はそれが離れなくなってしまった。
「タカ丸さん」
と、少しだけ掠れたような声で名前を呼ばれて、俺は「何?」とだけ短く返した。
「好きです、タカ丸さん」
そう言って、彼の眼は不思議そうなものから真剣な眼差しへと変わった。
あぁ、こんな喜八郎は本当に初めてみるかもしれない。
告白した時だって、嬉しそうな顔ばかりが浮かんでくるし、初めて手を繋いだ時だって照れたようなものだったはずだ。
なのに、どうして今日はそんな風に真剣な目をするんだろう。
俺は小さく「俺も、好きだよ」と返した。
それに喜八郎は小さくうなずいて、そっと顔を近づけてきた。
あ、と俺は喜八郎がどうしてこんな顔をしているのか解った気がした。
あぁ、何だそう言うことなのか、と理解して目を閉じる。
喜八郎も俺と同じでドキドキしてるんだ。
それで、こんな目を、顔をしているんだ。
そっと触れられる唇に俺は小さく笑った。
たぶん、これは何とかの危機とか言う奴で、本当は逃げた方がいいのかもしれないけど。
でも、俺はこの危険がちょっと嬉しくて、ちっとも嫌じゃなかった。
「好きだよ、喜八郎。好き、大好き」
そう、離れた唇で言ってあげると彼はまたそれを押し付けてきた。
あぁ、危ないなぁと俺は全然危機感もなく思ったのだ。
end
何とかの危機って言うのはもちろん貞操です(オイ)
でも、綾部のことが好きだから流されちゃうタカ丸さんです。最初はタカ丸の方が余裕があるのかもなぁと思うのですが。でも、そのうち、逆転されるにきまってるwwww