廻ってしまえば、全部同じ
結局一つに帰っていく。
喜八郎と喧嘩をした。
僕と二人でいる時に、くのいちの女の子が近づいてきて喜八郎に声をかけたのだ。
話している内容を聞けば、それは喜八郎への告白で。
僕はそれを離れた所から聞いていた。
好き、付き合って。
その短い単語が聞こえてしまって、僕の頭にかっと血が上った。
本当は邪魔なんかするつもりなどなくて、戻ってくるのを待っているつもりだったのに。
その言葉が聞こえた瞬間、僕は何か無茶苦茶なことを言ってしまって。
邪魔をして、喜八郎を怒らせて、女の子を泣かせてしまって。
そのまま走って部屋に帰ってきてしまった。
何を言ったのかなんて覚えてないくらい、僕は今ぼろぼろだ。
こんな時、自分は一人部屋で良かったと思う。
編入生だから空いていた部屋をそのまま貰って、僕は部屋の隅で一人で膝を抱えている。
どうしようもない、今すぐにも死んでしまいたいくらいな気持で僕は一度扉の方を見た。
どうして、あんなことを言ってしまったんだろう。
喜八郎が怒るなんて珍しいこと。
それくらい、きっと僕はひどいことを言ってしまったんだ。
ぎゅうと自分の足を抱いて、更に体を小さくする。
頭に巡るのは、喜八郎のことばっかりだった。
こんな風になるなら、僕達は友達のままの方が良かったのかもしれない。
そうしたらあんな酷いことしなくて済んだ。
それから、こんな惨めな気持ちにならなくても済んだんだ。
嫉妬して、みっともなく女の子を怒鳴りつけたりしなくてよかった。
そして、喜八郎に嫌われたり、盗られたりするって心配しなくてよかったのに。
こつんと自分の膝に額をくっつけて、小さくため息をついた。
今にも泣きそうな顔をしているのが自分でもわかる。
でも、結局今こうして泣きたい気持ちになるのも、彼を怒らせて後悔しているのも、それも全部結局、僕が喜八郎を好きなことを変えられないからなんだ。
好きで、好きで、どうしようもないんだもの。
謝りたいけど、何故か今それをしに行くことが出来ない。
怒ってる、僕は喜八郎に会って嫌な顔をされるのが怖かった。
怖い、嫌われるのが怖いんだ。
どうしよう、とそんな風にぐるぐると頭の中で思考が回り始めた。
「タカ丸さん」
もうどれくらい時間が経ったんだろう。
そんな、時間の感覚が曖昧になったころ、扉が開く気配がした。
それにあの綺麗な声。
それに僕はびくりと思わず体を震わせてしまった。
喜八郎だ。
扉から差し込む光はまだ白くて、実はそんなに時間が経ってないことが分かった。
考え事をしていたから、きっと時間の感覚がおかしくなっていたんだ。
「タカ丸さん、泣いてるんですか?」
そう言われて僕は、首を横に振った。
それでも、僕は顔をあげられなかった。
喜八郎は今、どんな顔をしてるんだろう、心配そうな顔?それとも怒ってるんだろうか?
それが怖くて僕は顔を伏せたまま返事をした。
とさと隣に喜八郎が腰を下ろす音がする。
「さっきはびっくりしました」
「……」
「彼女には、私から謝って、お引き取り願いました」
「……」
「それから、あの告白も断りました」
「……怒って、る?」
そう小さく切りだせば、喜八郎は「そうですね」と短く言葉を継いだ。
「…怒ってはないです。びっくりしただけだから。…むしろ、今は顔がにやけそうです」
「にやけ、る?」
そう聞き返しながら、恐る恐る顔を上げると喜八郎の灰色の髪が目に入った。
何時ものきょとんとした眼がこちらを見ていて、それに視線を合わせた。
「だって、ああやって邪魔をしたのは嫉妬してくれたからなんでしょう?それくらい私のことを想っていてくれると解って、少し嬉しいんです」
「でも…僕は今、すっごく泣きそう」
「…なら、私が胸を貸します」
どうぞ、と言いながら喜八郎は腕を広げている。
それを見て、僕の眼にはじわじわと暖かいものが浮かんできた。
「き、はちろう、ごめんなさい」
そう言いながら彼の腕にすがると、彼は「私は、タカ丸さんだけが好きです」とそう言ってくれた。
あぁ、結局僕は、どんなにしたって彼から離れるなんて無理なんだ。
ここに帰ってくるんだと、無性にそれが嬉しくて仕方がなかった。
end
綾タカで目指せ、切ない系!だったのですが、なんかラブラブになった気がします。
この二人は直情的なイメージが強いので切ない系は難しいです;;ってか、バカップルな二人が好きなんだもの。
喜八郎と喧嘩をした。
僕と二人でいる時に、くのいちの女の子が近づいてきて喜八郎に声をかけたのだ。
話している内容を聞けば、それは喜八郎への告白で。
僕はそれを離れた所から聞いていた。
好き、付き合って。
その短い単語が聞こえてしまって、僕の頭にかっと血が上った。
本当は邪魔なんかするつもりなどなくて、戻ってくるのを待っているつもりだったのに。
その言葉が聞こえた瞬間、僕は何か無茶苦茶なことを言ってしまって。
邪魔をして、喜八郎を怒らせて、女の子を泣かせてしまって。
そのまま走って部屋に帰ってきてしまった。
何を言ったのかなんて覚えてないくらい、僕は今ぼろぼろだ。
こんな時、自分は一人部屋で良かったと思う。
編入生だから空いていた部屋をそのまま貰って、僕は部屋の隅で一人で膝を抱えている。
どうしようもない、今すぐにも死んでしまいたいくらいな気持で僕は一度扉の方を見た。
どうして、あんなことを言ってしまったんだろう。
喜八郎が怒るなんて珍しいこと。
それくらい、きっと僕はひどいことを言ってしまったんだ。
ぎゅうと自分の足を抱いて、更に体を小さくする。
頭に巡るのは、喜八郎のことばっかりだった。
こんな風になるなら、僕達は友達のままの方が良かったのかもしれない。
そうしたらあんな酷いことしなくて済んだ。
それから、こんな惨めな気持ちにならなくても済んだんだ。
嫉妬して、みっともなく女の子を怒鳴りつけたりしなくてよかった。
そして、喜八郎に嫌われたり、盗られたりするって心配しなくてよかったのに。
こつんと自分の膝に額をくっつけて、小さくため息をついた。
今にも泣きそうな顔をしているのが自分でもわかる。
でも、結局今こうして泣きたい気持ちになるのも、彼を怒らせて後悔しているのも、それも全部結局、僕が喜八郎を好きなことを変えられないからなんだ。
好きで、好きで、どうしようもないんだもの。
謝りたいけど、何故か今それをしに行くことが出来ない。
怒ってる、僕は喜八郎に会って嫌な顔をされるのが怖かった。
怖い、嫌われるのが怖いんだ。
どうしよう、とそんな風にぐるぐると頭の中で思考が回り始めた。
「タカ丸さん」
もうどれくらい時間が経ったんだろう。
そんな、時間の感覚が曖昧になったころ、扉が開く気配がした。
それにあの綺麗な声。
それに僕はびくりと思わず体を震わせてしまった。
喜八郎だ。
扉から差し込む光はまだ白くて、実はそんなに時間が経ってないことが分かった。
考え事をしていたから、きっと時間の感覚がおかしくなっていたんだ。
「タカ丸さん、泣いてるんですか?」
そう言われて僕は、首を横に振った。
それでも、僕は顔をあげられなかった。
喜八郎は今、どんな顔をしてるんだろう、心配そうな顔?それとも怒ってるんだろうか?
それが怖くて僕は顔を伏せたまま返事をした。
とさと隣に喜八郎が腰を下ろす音がする。
「さっきはびっくりしました」
「……」
「彼女には、私から謝って、お引き取り願いました」
「……」
「それから、あの告白も断りました」
「……怒って、る?」
そう小さく切りだせば、喜八郎は「そうですね」と短く言葉を継いだ。
「…怒ってはないです。びっくりしただけだから。…むしろ、今は顔がにやけそうです」
「にやけ、る?」
そう聞き返しながら、恐る恐る顔を上げると喜八郎の灰色の髪が目に入った。
何時ものきょとんとした眼がこちらを見ていて、それに視線を合わせた。
「だって、ああやって邪魔をしたのは嫉妬してくれたからなんでしょう?それくらい私のことを想っていてくれると解って、少し嬉しいんです」
「でも…僕は今、すっごく泣きそう」
「…なら、私が胸を貸します」
どうぞ、と言いながら喜八郎は腕を広げている。
それを見て、僕の眼にはじわじわと暖かいものが浮かんできた。
「き、はちろう、ごめんなさい」
そう言いながら彼の腕にすがると、彼は「私は、タカ丸さんだけが好きです」とそう言ってくれた。
あぁ、結局僕は、どんなにしたって彼から離れるなんて無理なんだ。
ここに帰ってくるんだと、無性にそれが嬉しくて仕方がなかった。
end
綾タカで目指せ、切ない系!だったのですが、なんかラブラブになった気がします。
この二人は直情的なイメージが強いので切ない系は難しいです;;ってか、バカップルな二人が好きなんだもの。