呆然と隙だらけ

「隙だらけですよね、タカ丸さんは」
じぃっとその大きな目で見つめられて、俺はたじろいでしまった。
兵助君はたまにこんな風に俺を見つめてくるからドキドキしてしまう。
もともと、あまり瞬きをしないというか、なんか眼力がすごかったけれど、そんなことを言われながら見つめられると、後ずさってしまいたいくらいドキドキする。
たぶん、普段キスとかする時のドキドキじゃないけど。
俺よりも少しだけ背の低い彼はじぃと上目づかいに覗き込んでくるのだ。
視線が克ち合うとそらすこともできずに、そのまま見つめ合う形になってしまう。
「今だって、隙だらけだよ」
そう言って、すすっと兵助君の顔が近づいてくる。
うわぁ、と言いながら足を後ろに下げると、そのまま滑らかな床に足を取られて、俺は尻もちをつく形で転んでしまった。
それに機嫌を良くしたのか、それとも面白がったのか。
兵助君は綾部よりも表情が分かりにくいと気があるけど、どっちからわからない笑みを浮かべながら、俺の足の間に入って、体の両側に手を着いた。
まっすぐに見つめられて、俺の喉がこくんと鳴る。
兵助君の顔は、見ているとドキドキする、ずっと見つめてしまうのだ。
そして、それが近づいてきて、俺の唇と兵助君の唇が重なった。
音もない、静かな接吻に俺は眼を見開いてしまった。
呆然と見ると、きれいに、すっごく綺麗に兵助君が笑った。
「そんなんだと、忍者になれないよ?」
からかうように言われて、俺の顔が熱くなるのがわかった。
硝煙倉は寒いはずなのに、顔だけがすっごく熱い。
「な、なるよ。ちゃんと、忍者になるもん!」
「じゃあ、もうちょっと隙をなくさないと駄目だよ」
そう言って、くすくすと笑いをこぼされて、俺はほほを膨らませた。
だって、そんな隙なんて。
「だって…」
「だって?」
「兵助君とだと気を張る必要がない、から」
そう言うと、兵助君はその大きい眼をぱちぱちと数度瞬かせた。
あ、と思って今度は俺から接吻をする。
やっぱり触れるだけのそれをすると、やっぱりびっくりしたような顔をされてしまった。
「す、隙あり…」
なんちゃって、と続けると兵助君はさっと顔を下げた。
耳を見ると真っ赤になって、恥ずかしそうにしている。
「兵助君?」
「…私も、まだ隙ばっかりだ」
そうこぼされて、俺はふふと小さく笑いをこぼしたのだった。

end

初、ちゃんと出来てる久々タカです。この二人もあまあまCPだと思っています。天然二人。
つか、タカ丸が絡むと基本的に甘い気がいたします。