ロマンティック・イミテーション
「この指輪は私に似ているよ、兵助…」
彼は、ベッドの中で買ってきた指輪を光に反射させながら笑った。
はじめて寝たのは、酒の勢い。
二度目は、寂しいから。
それから先は、きっと惰性だ。
二人で買い物行って、たまたまあった福引をやったらこんな玩具の指輪が当たった。
最近はやたらとよく出来ているらしくて、プラスティックのアメジストがそれにははめ込んである。
やたらきらきらするそれを蛍光灯に反射させて、三郎はそれを床に放った。
「何…」
「雷蔵にばれた」
と、一言告げられて私も目を見開く。
どうやってばれたの?と聞けば香水と短く返された。
あぁ、と自分の持ってきたジャケットを見て私はそこ入っている香水の小瓶を見やった。
最近、好きでつけていたのが仇になってしまったのかと、眉根を下げる。
枕に顔をうずめて、泣きそうに口元をゆがませる。
「じゃあもう、終わりにする?」
そう言葉を発すると、三郎は一度だけ唇を開いて、でも明確な言葉は出さなかった。
「私は、雷蔵になりたかった…」
「うん、」
「好きで好きでしょうがなくて、何度も一つになれたら良いのにと。それがダメなら、雷蔵と同じになれれば良いって思ってた」
「何度も聞いたよ」
そう言って、雷蔵と同じ髪型にしたという茶色の髪をなでる。
でも、これだってやっぱり違う。
雷蔵の髪はもう少し癖があるけれど、三郎の髪は猫っ毛なのだ。
「…結局私は偽物でしかないんだ」
「でも、三郎は三郎じゃないか」
「私は私が大っきらいだ」
嫌いだ、嫌いだ…と枕の綿にその言葉は吸収されてしまう。
兵助、と名前を呼ばれて抱きつかれた。
吸いつくような滑らかな肌に、私は一度だけ息を飲んで、結局また布団の中。
あいつが好きなのに、結局、すがるのは私なのかと。
少しだけ優越感が芽生えてしまった。
end
三郎の浮気相手は久々知さんです。最初は酒の勢いだけど、二回目からはつい甘えたという…。典型的な浮気です。でも、久々→鉢なんだぜ(え)