余裕たっぷりの微笑

僕なんかよりずーっと余裕があるのが、悔しいけれど好きなんだ。

最初に会ったのはこの忍術学園に入ってすぐ、同室になった時だ。
食満なんて読めなくてすごく普通に「えっと、しょくまん君よろしく」って言ったら、思い切り手刀で額を殴られた。
「け、ま、だ。解らないならちゃんと聞けよ。えっとぜんぽうじ?」
と怒られた。
ちゃんと名前を読んでくれたと僕はとても喜んだ。
それから下の名前で呼ぶようになって、今じゃあ友達以上にまでなったのに。
なったのに…未だに僕は彼に勝てないでいる。
「留さんの余裕は本当にどこから来るんだい?」
こんな状況なのに、と自分の体の下にいる寝間着姿の留さんに尋ねると、は?と眉根を寄せられた。
そんなに嫌そうにしなくたっていいじゃないか、と思うんだけど。
「だって、僕はいつもいっぱいいっぱいなのに、留さんには余裕があるから。どうしてだろうって思ってね」
「それは私に聞くようなことだとは思わないんだけど」
まぁ、そうなんだけど、と言いつつ、僕は体を起こした。
留さんも興が削がれたとか言いながら少しだけ乱れた寝間着を整える。
「いや、ずっと不思議だったから。留さんはいっつも自信満々でさ。僕ばかり不安で不公平じゃないかと思って」
「…自信満々って。そこまでのつもりはさらさらないんだが」
何言ってんだと言われてしまえば、僕はしゅんとしてしまった。
でも、僕にとっては留さんは余裕しゃくしゃくなのは変わりないのだけど。
そうやってしょげていれば、留さんがあー…もう!と言って、僕の頭をなでてくれた。
「私が余裕があるように見えるのは…お前が、そうやって言うからだよ」
「僕が?」
「そうだよ。お前が…私のことを好いていてくれるとすぐにわかるからだ」
言わせるな、こんなこと、と溜息をこぼしながら言われてしまえば、こちらの顔が熱くなる気がする。
あぁ、今僕はきっと耳まで真っ赤だ。
「…そんなに解りやすいかい?」
「解りやすいさ」
そう言って、留さんはにっといつもの笑みを浮かべた。
いつもの余裕綽々と言うような笑みに、僕はまた赤面してしまう。
「なんか、悔しいなぁ。僕ばかりが留さんを好きみたいじゃないか」
「私だって、ちゃんとお前のことを好いてるんだけどなぁ」
そんなことを言われてしまえば、僕は本当にどうすればいいというんだろう。
やっぱり好きだなぁと、その笑みを見てまた思ってしまうんだから。

end

伊食満です。伊食満は余裕のない伊作と余裕綽綽の留さんって構図が私の中でデフォなんですが。世間さまは、どうなんでしょう?(汗)