ペアマグカップにホットココア

冬の定番です。

「最近、寒くなったねぇ」
と、部屋に遊びに来てくれたタカ丸さんがつぶやいた。
私は元からそういうのに鈍感だったからそんな風には感じなかったのだけど。
そうか、タカ丸さんは寒かったのかときづいた。
部屋に暖房を入れたのは言われたからじゃないし、さっきからついていた。
どうしよう、と私は少しだけ思案する。
タカ丸さんは猫舌の上に苦いものは飲めない。
でも、私の家にあるのはコーヒーだったし。
砂糖とミルクを出してこようかと、しばし悩んだ。
「喜八郎?どうしたの?」
ぼーっとしていたのを気がつかれてしまって、「あ、いえ。お茶を入れてきます」とさっと立ち上がって部屋を出る。
気にしなくていいのに、という言葉が聞こえたけれど、タカ丸さんが寒いというのは問題だ、それはいけない。
家の台所まで行けば、机の上にぽんとおかれたココアの袋が見えた。
あぁ、もしかして母が買ってくれたのかもしれない。
使うなという注意書きもないし、と私はその裏に書かれた注意事項を見ながらココアを入れて、ペアのマグカップに注いだ。
このマグカップは頻繁に家に来るタカ丸さんの為に買ったものだ。
誰にも使われないように、家の決まりごとに従って紙を貼って棚にしまっているのだ。
それに熱いそれを入れて、部屋に行けばタカ丸さんは宿題を広げていた。
「あ、喜八郎、ありがとう。なんか甘いにおいがするね」
「はい、ココアがあったので入れてみたんです」
どうぞ、と渡せばタカ丸さんはそれを受け取った。
一口、私もタカ丸さんもそれを口に入れた。
「あ…」
と、私は思わず声を上げた。
何か玉になっている、それを舌で潰せば中からまだとけきっていないココアの粉が出てきた。
「…これ」
「あ、もしかして喜八郎、ココア先に溶かさなかった?」
きょとんと首をかしげるとタカ丸さんはふふと小さく笑った。
「ココアを入れるときにね、最初ちょっとだけ溶かすの。それで、どろどろになったらまたお湯を注ぐ。そうしたら美味しくできるよ」
「そうなんですか。今日初めて入れたので、知りませんでした」
「俺も最近知ったんだー。牛乳を入れても美味しいんだよ」
ミルクココアになるんだ、と楽しそうに言っている。
じゃあ、と私は自分の入れたココアを見つめる。
次はタカ丸さんに教えてもらったミルクココアを作ってみようと、その塊がまだ浮いているココアを飲んだ。

end

ココア、ココア=甘甘=綾タカと相成りました。この二人はこれくらいが好みでございます。