真夏のビーチパラソルの下
紫外線は敵です。
夏に海に行こうと言い出したのは竹谷だった。
全員就職を決めて、そろそろ暇になった頃でいいと言っていた春の約束を覚えていたらしい。
6月から計画を立てて、7月に雷蔵の就職が決まったのを待って、8月の頭、試験が全部終わった後でということになったのだ。
車を出したのは雷蔵で、そこに荷物をごっそり入れて海までやってくる。
親子連れやら恋人連れやらが大量にいて、三郎が少しだけいやそうな顔をしたけれど、それでもちゃんと海まで出てきた。
ビーチパラソルをみんなで立てて、下に着ていた水着になれば、竹谷と兵助がまず海の方に走り出していた。
が、どういう訳か三郎は頑なにビーチパラソルの下から出ようとはしない。
むしろ、完全防備と言わんばかりに長袖をはおり、ジーンズをはいて汗をかきながらポカリスウェットをあおっていた。
それを見ながら雷蔵は呆れたように、苦笑をこぼす。
「三郎…、海行かないの?」
「行かない、日焼けする」
すぱん、と言われてしまえば雷蔵はその照りつける太陽を見上げた。
確かに、燦々とした太陽を見れば日に焼けてしまうのはわかりきったことだけれど。
「でも、そこで一日そうしてるつもりなの?」
「良いよ、私は荷物を見てる。というか、日に焼けるのは本当に嫌なんだ…」
はぁ…と三郎はため息をついて膝に頭を乗せた。
そう言えば、プールとかで泳いでいる彼を見たことがない。
「…そんなにひどくなるの?」
「あぁ、まぁね。日焼け止めを塗っても大抵、赤く腫れて一週間は仰向けで眠れないし。服を着る時も、ひりひりする。人より治りが遅いのもあるから。出来るだけ焼かないようにしているんだけど…」
そんなになるのか、と少し可哀そうになって、雷蔵はその隣にまた腰をおろした。
「肌が弱いのも困りもんだね」
「でも、見てるだけっていうのも嫌いじゃないから。いいよ、雷蔵…遊んで来ればいいさ」
ほら、と海の方を示されれば、小さく笑って雷蔵はその髪をなでようと手を伸ばす。
くしゃくしゃとなでてやれば、「な、何だよ?」と驚いたように見つめられた。
「後で、ハチと兵助に言って、別のところに移動しようよ。それに免許持ち僕以外にもいるから、交替でドライブでもいいでしょ?」
そう言われて、三郎はぱちんと一度だけ瞬きをして「あいつらが良いって言えば、な」とまたペットポトルを口につけたのだった。
end
夏場に日の下に出るのを嫌がる三郎です。
でもたぶん周りが盛り上がってるから、日焼けのこととかあんまり言えないんじゃないかと思いつつ。気を使っているというよりは、ぶっちゃけ恥ずかしいからなのですけれどね。