なんでもない日のパーティ
「あぁ、鉢屋君助かったわぁ。最近はあんまり重いものも持てなくてねぇ」
「あはは、良いですよ、気にしないでおばちゃん」
正門から食堂までの道で、いつも忍玉達のご飯を作ってくれている食堂のおばちゃんが重い荷物を運んでいた。
まぁ、暇だしと三郎はそれを運んであげたのだ。
台所にそれを運びこんで、じゃあとその場を後にしようとすれば、あぁ、待ってと呼びとめられた。
「どうせならこれ持って行ってみんなで食べなさいな。蒸かしたのはいいけど、多すぎて食べきれなかったのよ」
だから、とその場で饅頭を10個以上ももらってしまったのだ。
もともと少食だから、自分もこんなに食べないのだけど。
とりあえずは礼を言って部屋に戻りながら、まぁ、雷蔵にでも相談しようと決めた。
「不破先輩、お裾わけです」
と、彼は委員会の後輩の怪士丸から差し出されたのはお茶の葉だった。
きちんと筒にいれられて、それなりの量がある。
「これ、どうしたの?」
もしかして買ってきたのだろうか?
それなら、あまり受け取るわけにはいかないかもしれないと、怪士丸に尋ねれば、あの…といつもの控えめな声で続けられる。
「…実家から送られてきたんです。でも、僕一人ではこんなに飲まないし。ろ組の子に上げようかと思ったんですけど。その子たちより先輩たちの方が飲んでくれるかもって思って」
あぁ、確かにと少しだけ怪士丸の言葉に同意した。
どうやら同じように長次や久作ももらっている。
きり丸にはあとから持って行くらしい。
「じゃあ、ありがたくもらっておくよ。今日、おやつの時間にでもみんなで飲ませてもらうね」
ありがとう、怪士丸といえば、へらとその暗い顔がいつもよりも明るくなった。
「あ、兵助君、今日時間ある?」
委員会も終わりかけの硝煙倉でタカ丸から兵助は声をかけられた。
時間と言われればまぁ、とうなずけばタカ丸は「良かった」と笑った。
「実は父さんからね、いろいろ送ってもらったんだけど。すごく量が多くて。よければもらってもらおうと思ってさ」
「お父さんから?何を貰ったんですか?」
「うん、なんか最近外人のお客さんがうちに来るようになってね。父さんにパン?とか言うのの焼き方を教えてくれたらしくて。それで焼いたのをいっぱいくれて…」
「パン…」
「うん、カスティラの親戚みたいなのだよ。火であぶってたっため食べても美味しいんだ」
手紙に書いてあったから試したんだ、とタカ丸が笑った。
「じゃあ、少しもらおうかな」
「いっぱい持って行っていいよ。四年の子に上げたんだけど、まだあるんだ」
多すぎと言ってタカ丸は笑いをこぼすのだった。
「よし、これで全部だな」
中庭で委員会で虫を全部捕まえ終わった竹谷が、小さく息をついた。
今回は大量の蜂が逃げ出してしまって、てんやわんやになったのだが、何とか全部捕まえることができたのだ。
おまけに、近くに別の蜂の巣ができていたのでそれの退治も仰せつかっていた。
目のところだけだして、後は少し厚手の服を着て、蜂の巣を落とした。
どうやらミツバチだったらしく、そこからは大量のはちみつが出てきたのだ。
流石に下級生には危ないということで、これは竹谷と孫兵の二人でやったのだが。
「…先輩、それどうしましょう?」
「あー…孫兵はいらない?はちみつ」
そう言って差し出せば、彼は困ったように眉根を寄せた。
「私駄目なんですよ、甘いの。ちょっとだけなら食べられるんですけど、そんなにいっぱいあると…」
つらいと続けられれば、そうか、と竹谷は手の中の蜂の巣をどうするか、しばし悩んで、じゃあ俺がもらおうと返事をした。
それにしてもでかい物を落としたと、ぽんと軽く手の上でそれを遊ばせた。
四人が銘々、もらったものを持って集まったのは三郎と雷蔵の部屋だった。
ずらりと並べられたそれに揃って、溜息をつく。
「何も同じ日にこれだけもらってくることないじゃない?」
「仕方ないじゃないか。好意は無駄にできないだろう?」
三郎が返せばそれに兵助もうなずいた。
竹谷も「俺は、もったいないの方だけどなぁ」と言って笑った。
「まぁ、今日はもうお茶会にでもしようか。これだけあるなら、誰か来ても引っ張りこめばいいしね」
それでいいじゃない、というような雷蔵の言葉に残りの三人も小さく笑った。
この偶然に乾杯!
end
みんなに物をもらう5年生です。竹谷はちょっと違いますが。
孫兵は甘いもの苦手なイメージがこっそりあります。ちょっとなら好きだけど、甘すぎるのはダメ。ベリー系の甘さは好きだけど、砂糖オンリーは駄目そうです。